総務省第3回審議会ヒヤリング事項と回答
 以下のとおり、総務省から提示されたヒヤリング事項に対する公式見解を委員会で作成し、これに沿って7月4日の第3回審議会で発言しました。

 ※この文書は7月15日に審議会用資料として提出しました。
【閲覧制度を利用している団体に対して】
Q1. 住民基本台帳の一部の写し又は選挙人名簿抄本の閲覧により取得した個人情報をどのように利用していますか
A. 標本調査の調査対象者を選ぶために利用しています。
世論調査などの多くの社会的統計調査では、標本としての一部の住民を対象とした調査結果から住民全体の状況を推定する標本調査が用いられています。標本調査では、住民全体の中から無作為に標本となる住民を選ぶことが絶対に必要となります。そのためには、まず、住民全体が記載されている台帳が不可欠です。
標本調査の場合、閲覧した個人情報をそのままDM目的に利用したり、発表したりすることは決してありません。集計に年齢などが必要な場合には調査の時点で回答をしてもらっています。標本調査では回答者個人の情報や回答を外部に出すことはありません。
Q2. 利用した後の個人情報の管理・廃棄はどのようになっていますか。
A. 集められた調査データと個人情報は完全に分離され、調査データからは個人を特定することができないように処理しています。
個人情報の管理・廃棄は、自治体の指定条件があればそれに従いますが、個人情報の廃棄は、焼却、シュレッダーによる裁断など、照会や復元が不可能な状態で処分しています。
Q3. 個人情報の保護についてどのような取り組みを行っていますか
A. 日本世論調査協会倫理綱領には「調査は、調査対象者の協力で成り立つことを自覚し、対象者の立場を尊重する」ことを謳っており、従前より、各会員がその主旨と意図を十分理解し、調査の遂行にあたっておりますが、個人情報保護法の施行を契機に、プライバシーポリシーの作成や、プライバシーマークの取得など、より一層の個人情報の保護に取り組んでおります。
Q4. 閲覧制度を利用できなくなった場合どのような影響が生じますか。
A. 日本の社会的統計調査は世界一の水準と言われていますが、この一つの大きな要因は、日本の住民基本台帳という、きわめて正確な名簿が完備されていることによるものです。
仮に、住民基本台帳の閲覧禁止や一部の住民の閲覧を除外するオプトアウトが実施された場合、母集団を正確に捕捉することができないため、調査の誤差評価ができなくなり、調査の信頼性・妥当性が著しく低下します。この結果、これまで調査の果たしてきた社会的機能が失われる恐れがあります。また、日本における社会的統計調査の信頼性も薄れ、データの継続性も断たれてしまいます。
【制度見直しに対する意見・要望】
Q5. 閲覧制度を存続させるべきか。
A. 上記、理由により閲覧制度を存続させることを強く要望いたします。
Q6. 存続させる場合に、閲覧できる主体と目的をどのように考えるべきか。
A. 社会的統計調査の場合、その目的・内容・方法は多様であり、閲覧できる主体を調査主体者、調査テーマ、調査内容などを基準に客観的に区別することは現実的に難しいと考えます。したがって、閲覧できる主体は個人情報保護法を遵守する団体と考えます。
閲覧の目的は特定の個人情報を取得することではなく、統計手法にのっとった手順により、代表性のある標本を確保(抽出)することにあります。調査の場合は特定の個人へのDMなど商品の販売や勧誘を目的とした閲覧は含まれておりません。
Q7. 個人情報保護の観点からどのような閲覧方法が考えられるか
A. 社会的統計調査における住民基本台帳の閲覧は全体の代表性を持った標本を確保(抽出)することにありますので、調査の目的に添った要件を満たし代表性のある標本を確保(抽出)できるのであれば、どのような方法でも問題はありません。
Q8. 選挙人名簿抄本の閲覧制度についてどう考えるか。
A. 選挙・政治や報道に関連した調査などは、従来どおり、選挙人名簿を台帳として利用したいと考えています。
Q9. その他
A. 現在、住民基本台帳の閲覧の許可判断は自治体によって異なっています。また、閲覧に必要な申請書類・手続きも自治体によって異なっています。さらに具体的場面では窓口担当者の判断にゆだねられる場合さえあります。
他方、一部自治体で、閲覧の極端な回数制限、閲覧料の高額化、配列順序の複雑化などを実施しているため実質的に閲覧の制約を受け、代表性のある標本を確保(抽出)することが困難になりつつあります。
このため、閲覧に際する手続きの標準化や閲覧台帳の統一化を基準とするガイドラインを設けるよう要望いたします。また、そのためには当協会は協力を惜しむものではありません。
(2005.7.15更新)

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