巻頭言
西平 重喜(個人会員)
この協会の会員団体もそれぞれ PR誌を持っていますが、この協会誌のような営利とは無関係な世論と世論調査の研究誌は外国にも余りありません。
1937年に American As-sociation for Public Opinion Researchが創立され、Public Opinion Quarterlyを発刊し、今年は71巻ですから、年末には通算 284 号になります。
2年遅れてフランスでもSondages(世論調査)が出版されましたが、不定期刊で1977年に廃刊しました。
World Association for public Opinion Research lnternational Journal of Public Opinion Research は1989年から出版され、19巻76号になります。
他に世論調査研究の専門誌はないようですから、わが協会誌「よろん」は世界の3誌の一翼を担うわけです。
日本世論調査協会は1950年に財団法人として発足しました。
私は1965年の協会報第3号に「入会の辞」を書いています。それは協会発足後15年ですが、私は10年以上前の1953年に「日本人の国民性」、1955年に「社会的成層と移動」の調査に参加しています。水野坦さんや林知己夫さんは早くから会員になっていました。私はこの協会は調査機関が中心で、政府や占領軍のハーバート・パッシンとの関係が深いものと思っていました。
この協会が日本の世論調査の発足発展に、重要な役割を果たしていますが、協会報に掲載されている世論調査事始めなどは、殆どがパッシン・スクールの話です。その努力を評価しないわけではありませんが、日本の新しい社会調査はほかでも研究されていたのです。
例えば彼が東京へ来る前、「読み書き能力調査」グループは「ペルゼル憲法」を読みました。ジョン・ペルゼルが社会調査実施について考えるべきことを指摘したものです。これは故吉田潤さん(本誌第 74 号1994 年)によれば、ギルフォードの本の抜粋でした。また私がいっしょに勉強した社会調査の研究者達は、ペルゼルやパッシンとのコンタクトは全くありません。
100号記念といえば、来し方、行く末を考えなければなりません。これからの協会報「よろん」を、世論や世論調査に関心を持つもっと多くの人々の期待に、応えるものにしようではありませんか!
この巻頭言は「よろん」100号に掲載されました。